
それまでの、撮影したフィルムをDPEに持って行って現像してもらい、また受け取りに行くという手間から解放され、しかも撮ったその場で液晶画面で撮影画像を確認でき、ビデオ出力でテレビにも映すことができ、当時のWindows95のパソコンに繋げば、モニター画面で見たりファイルとして保存したりすることもできるという(今ではみんな当たり前のことですが)、当時としては画期的な夢のようなカメラでした。

このころからデジタルカメラが急速に普及していったものかと思います。 そんなデジカメが普及するまでは、一般的に写真といえば印画紙にプリントされた「紙焼き写真」のことでした。 私くらいの年齢だと、自分や家族の写真を含め、アルバムに貼られた紙焼き写真がかなりの量を占めるのですが、これらは年月を経るごとに色あせて劣化してきています。
大事な写真が劣化する前に、何とかデジタル化して保存できないものかとトライしたことは何度もありました。 複合プリンターのスキャナーで読み取ってみたり、デジカメで撮影してみたりと。 しかし、やってみたことがある方は分かると思いますが、あまりにも手間がかかったり、影やテカリが写ってしまって、綺麗に写せなかったりすることにうんざりして、すぐに途中で投げ出すありさまでした。 そんな折、Webでたまたま見かけ、「これは紙焼き写真のデジタル化の救世主かも?」と購入してみたのが、この「Omoidori」(おもいどり)
形状

まずはiPhoneにApp storeから無料の「Omoidoriアプリ」をインストールしておきます。これがないと「omoidori」本体だけでは機能しません。
本体片面にはiPhoneの形に合うような窪みがあり、そこにiPhoneをカパッとはめ込むようになっています。装着、脱着は簡単です。(※iPhone SE, 5s, 5 は、付属のアタッチメントで対応するようになっています)

本体下の縁を持ってパカッ!と両側に開くと、三角の形になって自立します。この時、内部のLEDも自動的に点灯します。(電源スイッチやオートパワーオフの機能もあります) 中を覗いてみると、鏡に囲まれて照明に照らされたちょっとした写真スタジオのような状態です。
使い方と仕組み

写真の上に本体を乗せると、iPhoneの画面に取り込む写真のプレビューが表示されます。 プレビューの写真の周りには緑色の枠が表示されるので、それを写真の縦横に合うように本体を動かして合わせます。
アプリの鳥のマークのシャッターボタンを押すと、「カシャ!カシャ!」とシャッター音が2回響いて写真が取り込まれます。

対応する写真のサイズはL判、2L判。アプリのスイッチで変更します。 2L判サイズの写真の場合は、まず写真の左半分をスキャンし、次に右半分をスキャンし、それを一枚に合成することで可能にしています。 卒業アルバムなどの集合写真をスキャンする時に便利な機能です。
編集機能と保存先

スキャンされた写真は、アプリ画面左下のサムネイルをタップすると確認できます。ここで手動で日付修正、回転、トリミング、赤目補正などを施すこともできます。日付補正はサムネイル一覧画面で選択して一気に書き換えることもできます。
写真はiPhoneのカメラロールに保存されます。アルバム名は「Omoidori」になります。Omoidoriアプリから一覧表示した場合は、Omoidoriでスキャンした画像だけが表示されます。 iPhoneに取り込んだ写真は、別のメディアやクラウドに保存したり、写真アプリやPCで補正を施したりと自由にできます。
その他
購入後、iPhone5からiPhone7に機種変更したところ、私の購入した初期のOmoidori(形式PD-AS01)はiPhone7に対応しないことが判明(カメラレンズ部分などの形状の違いのため)。有償バージョンアップという形で新機種(形式PD-AS02)に交換してもらいました。(※このサービスは2016/12/31日までで終了した模様) 2016年10月7日より販売開始の新モデル(型名PD-AS02)は、iPhone 7, 6s, 6, SE, 5s, 5に対応しています。 ※iPhone SE, 5s, 5 は、付属のアタッチメントで対応。※Plusは非対応。詳細はOmoidoriホームページ 株式会社PFUで確認してみてください。
使ってみた感想
これまでこの「Omoidori(おもいどり)」を使って、60年近く前の写真も含めて、500枚近くの写真をスキャンしてみた感想です。アルバムから取り込む以外に、整理せずに放っておいた写真も取り込んでみました。 アルバムに貼らず丸まってしまっている写真などは、100均で買った額縁についていたガラス板を上に乗せると、平らになってうまくスキャンできました。 (※磁石で本体に装着できる「PFU フォトプレッサー (Omoidori専用) PD-ASPP
アルバムに貼ってある写真のスキャン作業は、写真の上に本体を被せてシャッターを押すだけなのでサクサク進みます。アルバムに貼られていない写真も、ガラス板を被せる手間が増える以外は同じです。この場合、写真を置く台紙は濃い色の方がトリミング機能が効きやすいようです。L判より小さな写真は、貼られている台紙が白いと、写真の縁の白と区別がつきにくくなるせいか、自動トリミングが効きにくくなるときもあったのですが、この場合は、トリミング枠を手動で決めてやることもできます。
集合写真のような2L判の写真も、左右2枚分のスキャンをするだけです。この時、合成される様子が画面に表示されて面白いです。
このようにスキャンしてiPhoneに取り込んでいく作業は、写真の上に「Omoidori」を被せてシャッターを切るだけなので簡単です。
それに比べて、時間がかかるのは編集作業の方です。 トリミングや顏認識による写真の向きの補正は、Omoidoriの自動補正にお任せしても、かなりの確率でうまく処理してくれるので、それほど手間はかかりませんでした。(今回は人物の写っている写真を中心にスキャンしたので、人物の写っていない風景写真などではどうなるか分かりません。)
一番手間がかかったのが、取り込んだ画像ファイルにExifデータとして書き込まれる日付の修正でした。
もちろん「別に日付の修正なんかしなくてもOK」という方には、この作業は必要ありません。 日付が焼き込まれている写真は、日付認識機能をオンにしておけば、自動認識して取り込んでくれるのですが、認識率はそれほど高くないように思えました。 私は途中から日付認識機能はオフにして、一覧からまとめて書き換えるようにしました。 そして、写真に日付の入っていないものは、いくら「Omoidori」が優秀でも、どうにもできません。
これはどうしても仕方のないことなので、写真から色々な情報を見つけ出し、拙い記憶を辿って、推測される日付に書き換えていきました。これが一番時間がかかりました。 この時ひとつ気がついたのが、写真まわりの白い縁の部分にヒントが書かれているものがあったことです。写真によっては「74」とか「75 Apr.」などと書かれていました。これは当時のDPEの計らいだったのでしょうね。これにはだいぶ助けられました。
こうして日付を(大雑把にでも)修正すると、Omoidoriアプリでサムネイル一覧表示したときに、日付順に並んで表示されます。 今回は自分の写真を中心に取り込んでみたのですが、そうやって並んだサムネイルの一覧を見るだけでも、なんだか懐かしい自分史が一気に見られるようで、懐かしい気持ちでいっぱいになりました。
古い紙焼き写真やアルバムのデジタル化に悩んでいる方は、この「Omoidori(おもいどり)」を使った写真のデジタル化は、かなりお薦めできる方法だと思います。
私の小さいころの写真はモノクロ写真ばかりなのですが、これを試しに人工知能でカラー化してみました。その時の記事がこちら人工知能によって白黒写真に着色してカラー写真にしてくれるWEBサービス SIGGRAPH 2016にあります。 こんな楽しみ方もお薦めですよ。
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