フェンスの向こうのアメリカ(vol.4)

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 根岸の丘の上に広がる根岸米軍住宅の入り口についた。
「あ、そこから入っちゃって!」と言うティナの指示に従って、誰もいないゲートらしきところを通過した。当時は出入りの規制が、それほど厳しくなかったのだと思う。
「勝手に入って大丈夫か?」
「大丈夫だよ。だって私ここに住んでるんだもん」
「ここだと車は右側通行だよな?」
「う~ん、やっぱりアメリカだからそうなんじゃない?」と幸香も自信なさげな答え。

house

※写真はイメージです



根岸の米軍住宅地は、まるで映画やTVで見たような、アメリカの郊外の住宅地そのものだった。
夏の日差しに照らされて、緑に輝く一面の芝生。縦横に描かれた白っぽい道路が緩やかな起伏に続く。そこにポツンポツンと建っている白い洋風の家々。家と家の間には垣根もなく、ただ一面に緑の芝生が広がっていた。ここの家一軒が占める敷地に、日本の家屋なら4軒くらいは建てられそうなつくり。後から知ったことだが、階級や家族構成等によって様々なタイプの建物が用意されていたそうだ。
丘の上なので、夏真っ盛なのに心地よい風が吹いていた。

そこに広がるのは日本の中にあっても、確かにアメリカの風景だった。

ソロソロと車を走らせていると、いつの間にか後ろにPC(ポリスカー)がついてきているのに気がついた。これもアメリカの映画の中でしか見たことのないようなPC。
実はこの時にパトロールカーではなく、ポリスカーと言うのだということを初めて知った。ついでに消防士はファイアーマンではなく、ファイアー・ファイターと言うのだということも。
車を脇に寄せて止めると、お約束のようにレイバンのサングラスをかけた警官が、開け放した車の窓枠をコツコツとノックして顔を覗かせた。促されたティナがドアを開けて外へ出て、警官と何やら立ち話をはじめた。

「ついて来いって」

確か、根岸競馬場跡に残る四角いタワーのような一等馬見所跡だったと思う。緑のツタのからまる、年季の入った大きな建物の脇から入った薄暗く埃っぽいところが、詰所のようになっていて、脇には荷台付きのこれもアメリカンなPC(ポリスカー)が止まっていた。薄暗い中、大きな柱のそばの机で何だか書かされて、許可証のような物を渡されたような気もするが、今では記憶が定かでない。

手続きも済んで、ティナの家に向かう途中、自分たちと同じようにPCに捕まっている車がいた。ここがどこだか知らずに迷い込んでしまったのか、警官と何か話しながらペコペコとお辞儀をしていた。英語でポリスに話しかけられて、なんと応えているんだろう。ま、偉そうに他人のことは言えないんだけどさ。

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