フェンスの向こうのアメリカ(vol.5)

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   白い瀟洒な平屋建てのティナの家に着くと、マリという名だという白い小さな犬を抱えたティナのお母さんが、玄関に出て笑顔で出迎えてくれた。タイミングからして、ポリスから連絡がいっていたのかもしれない。
 ティナのお母さんは、日本中どこにでもいる普通のおばさんで、まるっきり日本の人だったので、安心して日本語で話すことができた。
 アメリカ風の大きめの家具に囲まれた居間で、幸香と二人でそのお母さんと日本風(?)の長めの挨拶を交わしていると
「もういいから早くこっちに来て!」
 ティナに急かされて、廊下の奥にあるティナの部屋に案内された。
 明るい日差しの差し込む部屋は、ベッドや机が置いてあり、可愛いらしいパッチワークのベッドカバーが、女の子の部屋らしかった。ティナは自分の部屋に、日本人の友達が来たのがよほど嬉しかったのか、終始ご機嫌な様子でにこにこしていた。
「そうだ!!」
 ティナが座っていたベッドから急に立ち上がると、部屋に作り付けの白いクローゼットの奥に顔を突っ込んで、何やらガサガサと探しはじめた。そして、スーパーの手提げ袋くらいの、白いビニール袋を出してきた。
「これ、いる?いるんならあげるよ?」
 差し出された袋の中を覗き込むと、おや?枯れ葉が一杯入っていた。
「これって!……も、もしかして?」 「うん!!」自慢気に腰に手をあて胸を張るティナ。
「何でこんなに持ってんの?」
「友達に頼めば、いくらでも向こうから持ってきてくれるよ」
 幸香と顔を見合わせて、かなり怖じ気づいてしまった俺達だった。

 一休みしたあと、本牧のベースキャンプに遊びに行くことなった。
 ティナのお母さんに日本円をドルに両替してもらった。当時の相場は1ドルが300円切るくらいだったのかな。そう考えると、随分とおまけしてもらったような気がする。
「お邪魔しました~」
「あら、もうお帰りなの?また来てくださいね。ここで生活していると、やっぱり日本の方とお話しするのが嬉しくてねぇ。それにほらあれでしょ。この子もこんなだから…etc」と話が長引きそうな様子。
「もう!早く行こうよ!うちのママったら、お客さんが来るとお説教が長くってさ!」
う~ん、それを言うならお説教じゃなくて挨拶だよ。こんなティナ流日本語。話が長いっていうより、日本人風の挨拶の流れだしなぁ。と思いつつ、名残惜しそうにマリを抱えて見送ってくれたお母さんを後に、三人で本牧のベースキャンプに向かった。

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